2010年2月15日月曜日

アラン・レネ『恋するシャンソン(みんなその歌を知っている)』上映会

昨日はJR奈良駅近くのスタジオ・ワルハラで開催された、アラン・レネ監督の1997年の映画『恋するシャンソン』の上映会に行ってきました。主催は奈良日仏協会シネクラブ
この映画はベルナール・スティグレールが『象徴の貧困1』(メランベルジェ夫妻訳,2006年,新評論)で第2章をまるまる全部使って詳細に分析していたので、ぜひ観たいと思っていたものでした。
スティグレールはテクノロジーの進化が人間の知覚に及ぼす様々な影響について研究している哲学者ですが、『象徴の貧困』では、知的な生の成果(概念、思想、知識など)と感覚的な生の成果(芸術、熟練、風俗)の双方をシンボル(象徴)と呼び、この象徴を生みだす力(意味を生みだす力)がテクノロジーに全面的に支配された社会(ハイパーインダストリアル社会)によって脅かされ、人が〈共にある〉という実感をもてなくなってしまっていることを詳細に論じています。そしてスティグレールはレネのこの映画がその問題を考える上で、非常に重要な作品だとして読み解いていくわけですが、とても面白い映画なのでネタはバラしません(あしからず)。

とにかく、集まった人々が気さくで個性的だったので素晴らしく楽しい交流を満喫した一日でした。そして、奈良でこんなにフランス語が飛び交う場所があったことが心地よい驚きでした。 フランス語を勉強したい!というモチベーションは一気に上昇。

さて、ナビゲーター役のピエール・シルヴェストリさん(35歳)は、学生時代に哲学を専攻し、なんとドゥルーズに師事していたとのことでした。ガタリとも3回会ったことがあると。ドゥルーズが投身自殺する直前の1年間、つまりドゥルーズのもとで学んだ最後の学生だったわけです。当時のドゥルーズの講義テーマは『シネマ』だった、とか肺病が相当悪化していた時期だったのでずっとゲホゲホ苦しそうだったとか、とにかくいいおじいちゃんだった、とかドゥルーズ晩年のエピソードを聴けた貴重な機会でした。
そのピエールさん、今はポリティカルな映画を制作しているそうです。

彼は年齢も近いし、趣味や志向も合うので、これから一緒に遊ぶ機会が増えそうです。近々オカバーにつれていきますので、その時は交流を楽しみましょう!(日本語はとても上手なので、心配ご無用です)
































会場のワルハラは地下組織のアジトのような雰囲気。 存在自体が面白すぎ。
















ナビゲーター役のピエール・シルヴェストリさん(右)。



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