2010年3月23日火曜日

野村尚志「ビール瓶」

ビール瓶がいっぱい並んでいたんだ
並んでいるビール瓶だって叫びたいんだ
俺たちはビールのためにあるんじゃないぞ
俺たちはビールのためにあるんじゃないぞ
そうビール瓶が叫びたいんだ
ビール瓶が叫びたいんだ
誰だって何だって自分のためにありたいんだ
それがあるということじゃないか
俺はそう思う
あなたはそう
思わないか


◆野村尚志(のむらたかし)詩集『私の在処』(2009年,私家版)より


ぼくもそう思うよ。
石英やら炭酸ナトリウムやら石灰やらが自分の意思でビール瓶になったんじゃないもんね。
インスタントコーヒーやらクリープやらの空き瓶をさしおいて、貧乏人の食卓を飾る花瓶の座に憧れてなにが悪いんだい。たまには可憐な野の花の一輪を支える紳士になりたいもんさ。

ぼくの中の批評家ぶった理性よ、存在論だとか現象学だとかそんなごちゃごちゃしたことはどうでもいいんだよ。

だけどこの詩集をくれた野村尚志さんと、某MLにこの詩をテロ的に流してくれた竹村には感謝してるよ。

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