2010年3月1日月曜日

究極Q太郎「ほげ歌」

かわるため
足場が あったため
時が
待ってくれた

ひといきに
変われぬ から
くどかれた だけじゃあ
変われないから

崩壊と
萌芽は

ふたつながら いぎたなく 眠り
ほうける

そのとき ひとは みな
若衆宿の
寝屋 みたいなもん

あざやかな なやましさに 迫られ
刺々しい 承知に うなされても
みんなみんな 夢か うつつか
ほんとの とこは 知っちゃいない

まじないを かけられたように
眠り続けるひとを 起こす といって
うけあった グルは
青柿 もいで
たちまち 熟柿に かえてみせた

だけど 巧みな 手さばきの
みごとな めくらましに すぎないことは
先刻 だれもが 周知の事実

かわってく そのとき ひとは
日暮れた 山道に なずむ
蛍光塗料のような
かすかな うすあかりを たのんで

だれひとり 証人も なければ
自分さえ 後追いが むずかしい
その線を 踏んでいく

わけ わかんない ながら
揺られつつ なおも 波の上を
歩いてく ぼくのために

いまは まだ あげ潮よ 足場を
かくさないでおくれ かくさないで




※『究極Q太郎の詩 上 名無しの名前』(2003年5月刊,私家版)より。

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