2012年7月1日日曜日

第1回読売アンデパンダン展(1949年)ステイトメント

わが美術界現在の状況は各派団体の乱立、展覧会氾濫の多彩な裏には依然として封建制、情実因縁、功利、政策等がいり乱れておよそ民主化とは縁遠い複雑、微妙の府といわれているが、これを打開粛正して最も高い芸術的創造の清新の気を吹きこむには一切の行きがかりを捨てて、完全な自由競争の形による最も民主的な展覧会方式とされているアンデパンダン展をおいて他にはありません。専門たると非専門たるとを問わず、また有名、無名を問わず全ての人に美術の門を無制限に開放し、これによってはじめて制作と鑑賞の自由が得られるものであります。
この故にこそ本社があらゆる困難と犠牲を忍び、わが国最初のこの展覧会を開催しもって美術革命を敢行した次第で、ここには如何なる党派も因縁も情実、垣根もなく、あるものはただ実力と創造であり、無制限に発揮される最も高い芸術への情熱であります。本社はこの企てが真の民主化を望む皆さんの共感を得ることを確信するものであります。


(テキストは赤瀬川原平『反芸術アンパン』より。但し通用字体に変換)

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