2015年4月13日月曜日

マルセル・デュシャン、瀧口修造、岡崎和郎

ギャラリーあしやシューレにて、来る4月27日(月)より6月14日(日)までの日程で岡崎和郎(おかざきかずお)の個展が開かれるというニュースが届いた。
現在85歳の岡崎氏本人も来場し、かつて国立国際美術館でマルセル・デュシャン展を企画した平芳幸浩氏と対談をされるという。

岡崎和郎という名を聞けば、あまりにも有名なデュシャンの《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称《大ガラス》)の一部を抜き出した瀧口修造とのコラボレーション《檢眼圖(けんがんず)》を即座に思い出す。
 1980年に再現された《大ガラス、東京ヴァージョン》。
 1965年に制作された《大ガラス》の一部、《眼科医の証人》エッチング
瀧口修造+岡崎和郎《檢眼圖》(1977年,国立国際美術館所蔵)。以上、三枚の写真はすべて『マルセル・デュシャンと20世紀美術』展図録(国立国際美術館・横浜美術館,2004)から拝借。

ミッシェル・サヌイエ編『マルセル・デュシャン全著作』(北山研二訳,1995,未知谷)より、関連箇所を引いてみよう。

「眼科医の表[検眼図]――

眼科医の表による跳ね返りのめまい。
 眼科医の表を通ってめまいをおこしたあとめまいがしたたりの(点の)彫刻をつくるが、それぞれのしたたりは点として役立ち、鏡によって映し出されるようにガラスの上部に映し出され、九つの射撃痕と出会う。
 鏡映し――それぞれのしたたりは、二つの図形の投影図と実測図の間にある三つの水平面を通り抜けるだろう。これら二つの図形はウィルソン=リンカーン・システム(すなわち、左からみればウィルソンになり、右から見ればリンカーンになる肖像画に似たシステム)によってこれら三つの平面に示されるだろう。
 右から見ると、図形はたとえば正面から見た正方形になりうるだろうし、左から見ると、透視図法で見られた同じ正方形になりうるだろう――
 鏡に映るしたたりはしたたりそのものではなく、それらの映像は同じ図形(この例では正方形)のこれら二つの状態の間を通る。
 (場合によったら、探している結果を得るにはガラスの裏に数個のプリズムを貼って使うこと)。

 斜視で眺めるべき諸部分、それは部屋の諸事物が映し出されるような、ガラスのなかの銀張り部分に似る。」

『マルセル・デュシャン全著作』132-133頁

ここでは個人的な関心から《檢眼圖》を紹介したけれども、今度の個展は独自の造形概念「御物補遺」によって制作された過去の代表作や新作を精選し、その思想に触れる展覧会になるそうだ。
その楽しみな日が来るのを、待ち遠しく待ちたいと思う。

◆岡崎和郎展 Kazuo Okazaki「御物補遺」 ギャラリーあしやシューレ 2015.4.27-6.14

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